ABOUT RECELL® SYSTEM

RECELL®について

熱傷について

熱傷は、損傷の深度により、I度熱傷、浅達性II度熱傷、深達性II度熱傷、III度熱傷に分類されます(図1)。熱傷が広範囲又は深い深度に及ぶと、皮膚組織だけでなく、全身の主要臓器の損傷を引き起こし、患者の予後は極めて不良となります。このような患者には、治療期間の短縮と感染を予防するため、壊死組織を除去し、患者自身の健常な皮膚を採取し(以下、採皮)、皮膚移植を行います(図2)
この治療方法は、熱傷面積に対して、1/2~1/4倍程度の健常な皮膚を採皮するため、採皮時/採皮後の疼痛、また大きな傷跡が残ることもあり、患者にとっては、大きな代償を払う治療法となります。

図1.熱傷深度III度熱傷や広範囲の深達性II度熱傷では、植皮を必要とする

図2.植皮術:採皮した皮膚に切れ目を入れ、拡大して植皮を行う。植皮後は網目の後が残る場合がある

RECELL®について

RECELL®は、患者自身から熱傷面積のわずか1/80倍の健常な皮膚を採皮し、専用のキットで細胞レベルに分離し、自家細胞懸濁液を作製します。この自家細胞懸濁液を直接的に熱傷部位に噴霧することで、角化細胞、色素細胞、線維芽細胞など、皮膚の形成に必要な細胞を、生理的に近い状況で、均一に生着させることが可能となります。また、自家細胞懸濁液は、RECELL®を用いて、手術室にて60分程度で作製可能であるため、受傷後、医師の判断により早期に治療を開始することが可能です。
通常の皮膚移植と同等の治癒効果(上皮化)をもたらしつつ、健常な皮膚採皮面積を最小限にさせることが可能です(図3)(図4)(図5)
また採皮部位にも適用が認められているため、創傷治癒の促進において良好な結果をもたらします。

図3.RECELL®を用いた治療過程

治療時

網状植皮:熱傷面積の1/2倍の採皮片を使用
RECELL®:熱傷面積の1/80倍の採皮片を使用

治療後、52週目

網状植皮:網状の傷跡が目立つ
RECELL®:同等の治癒率にも関わらず、網状の傷跡にならない

図4.米国の臨床試験より同一患者にて、RECELL®単独治療と2倍網状植皮の治療
(Photographs courtesy of Kevin Foster, MD, MBA, FACS, Arizona Burn Center, Phoenix, AZ, USA)

植皮部の採皮時

深い侵襲性により、疼痛も強く、傷跡も残りやすい

採皮後、12週目

創傷治癒が促進し、瘢痕もなく上皮化

図5.採皮部でのRECELL®治療(製造メーカであるAVITA MEDICAL社より提供)

2015年の台湾大爆発事故では、RECELL®を提供し、迅速に大勢の熱傷患者の命を救いました。
今後、日本においても、事故による熱傷患者だけでなく、テロや災害時に、RECELL®による敏速な治療が、医師の選択肢の一つとして貢献できることを願っております。

Contactお問い合わせ